新人でも1人で出向させられる
派遣やSES(システムエンジニアリングサービス)を生業としている会社の求人情報を見ると、決まって
「新人を1人で客先に出向させる事はありません!
必ず経験のある先輩と一緒に同行させます。」
といったような文言があるのですが、
しかし私が新社会人として入社したクリスタルグループの会社において、はじめての出向先は私1人でした。
もともと客先に出向させていた先輩がいて、その先輩の単価が高い事が先方でネックになっており、その先輩の業務を単価の安いメンバーが引き継いで常駐を続けるという案件でした。
ですので正確には引継ぎ期間は先輩&後輩の構図にはなっていたのですが、その期間はたったの1ヶ月で、引継ぎ期間が終わった後は私1人になりました。
社会に出てまだ間もない、社会の事なんて何もわかっていない新人を客先に1人で派遣させておくというのはとても危険な事ですよね。
「あれをやってはいけない」
「あれはやってもいい」
が分かりませんから。
礼儀作法レベルの事であればまだいいですが、情報の持ち出しや持ち込みなどのセキュリティ面で重大な事故を起こしかねないからです。
事故を発生させたら損害賠償問題に発展します、そうなるとせっかく稼いだ売上がなくなってしまいますから、リスクマネジメントはとても大事なのです。
ちなみに2つ目の出向先においては、さすがに私1人ではありませんでしたが新人のみで編成されたグループになりました。
結局私がこの会社にいる間、私の事を監視し、注意してくれる「会社の上司」がいなかったのです。
評価
評価においても同じ事が言えます。
出向先で私がちゃんと働いているかを見てくれている上司はいませんでしたから、
そうなるとお客様からの評価がすべてですが、外部の会社から大人数を雇っていたので、個人個人の詳細な評価を会社に伝えているとは思えませんでした。だから
1年目の昇給が1700円、2年目の昇給が2100円、、、初任給175,000円でスタートした私の月給が30万円になるにはあと何十年働かなければならないのか?
となりますよね、私がはじめての転職を決意した大きな理由です。
待機組を作らない事が最優先
このように新人だけで客先に出向させてはいけない事は分かっているのに、
「新人を1人で客先に出向させる事はありません!」と言っているのに、
それでも自分達で言ったルールを守れないのには理由があります。
派遣業を生業としている会社は、お客様の会社に人材を提供して、そのメンバーの給料を差し引いた差額で儲ける事になります。
しかしそのメンバーが派遣契約を終了して会社に戻ってくると、次の派遣先が決まるまでの間「会社待機」という事になります、会社待機になっているメンバーを俗に「待機組」と呼びます。
待機組はこの間に本社に出社して勉強したり、技術を磨いたりするのですが、客先に出て会社の売上に貢献していないのに給料が発生します、当たり前のことなのですが、そうなると会社の利益が喰われていく事になるわけです。
よって会社としての最優先課題はいかに「待機組」を作らないかという事になるのです。
しかし経験が浅く、能力の低い人材を雇ってくれるお客様はなかなかいません、だから悪条件を提示されても待機組を減らせるならその契約をしてしまうのです。
余談ですが関東で契約が決まって、関西支社の待機組を上京させた事もありました。採用時の
「勤務地は希望を考慮します」
なんて条件も、待機組を解消させるためだったらまったく意味を持たないのです。
新人抱き合わせ商法は難しい
その後私も転職を繰り返し、様々な経験を経て、外部の会社から人材を雇う側も経験をしました。
人手が足りない時に人材会社に要望を出し、提案されたメンバーの書類審査をし、面談も行う。
その時に人材会社の営業から
「格安でいいので、うちの新人も一緒にいかがですか?」
と提案されたりします。
新人を先輩社員と同行させて経験を積ませたいのです、過去の私の会社と同じです。
しかし即戦力を求めて人材の希望を出しているので、能力の足りない人にわざわざお金を払いたくありません、それが本音です、ですから基本的にお断りします。
この事から提案する人材に新人をペアにする新人抱き合わせ商法はかなり難しいと言えます、雇う側になってはじめてそう感じました。
総じて新人にどうやって経験を積ませるかという課題はおそらく人材派遣会社の永遠のテーマなのです。