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Pepperの生産が停止したらしいので、Pepperの思い出を語っていく

Pepperの生産が停止したらしいので、Pepperの思い出を語っていく
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Pepper生産停止

ソフトバンクでPepperが販売不振のため、もう生産を停止しているらしいです。

売れないのはどう考えても価格設定のせいでしょって思うのは自分だけではないはずです。

本体価格20万円だけでも高いのに、さらに3年保険加入で、なんだかんだで合計100万円くらいかかるからです。

それでデフレ大国の日本の家庭に普及すると思っている事がそもそも間違いだったのではないでしょうか。

 

Pepper懐かしいですね、私も少しだけ携わった事があります。

というのも、Pepperがテレビでいろんな事を披露していたあのアプリケーションはほとんど全部、実は私が前に働いていた会社が作っていました。

Pepperについて、前の会社での思い出を語っていこうと思います。

Pepperと関わるまでの経緯

前の会社がPepperに携わる事が出来たのは、実は完全に偶然の事になります。

Pepperを販売していたのはソフトバンクですが、Pepperを世に出すためにはとにかくいろんな会社が絡んでいました。

まずPepperそのものを開発し、アプリケーション開発に必要なツールを提供していたのはアルデバランという会社で、

アルデバランはPepperの前にnaoというロボットを既に開発していて、

「naoqi(ナオキ)」というOSでnaoとPepperは動いていました。

そんなPepperのいろんなアプリケーションをアルデバランが作っていたのかというと、実はそういう事ではなく、

アルデバランはあくまでpepper本体とアプリケーション開発ツールを提供するだけです。

そこでソフトバンクは吉本興業に依頼を出し、吉本がディレクターとなって

「どんなアプリケーションを作ったらいいか」

を考える事になりました。そして設立されたのが

「よしもとロボット研究所」

でした。この時、前の会社が偶然にも吉本のシステム開発をしていた事が縁になり、

「ロボット開発に人手を貸してくれないか」

ということになったのです。こうして

ソフトバンク(企画/販売)

よしもと(プロデューサー/ディレクター)

前の会社(アプリケーション開発)

という枠組みができたのです。

しかしPepperは発表されるまで世間に知られないように開発しなければいけないため、

決して口外する事がないように、社内で箝口令が出されていました。

だからソフトバンクがPepperを発表した時、あれだけのインパクトを与える事が出来たのです。

アプリケーション開発

Pepperのアプリケーション開発にはプログラミングスキルが必要ない事が話題になったりもしたと思います。

確かにどんな事をさせたいかという命令の矢印で結び、アニメーションをスタートさせれば、ある程度のものは動きます。

しかしとても細かい判断演算が必要な場合はPythonという言語でプログラミングする必要がありました。

今や人工知能開発で有名なPythonはいち早くPepperに取り入れられていたのです。

そしてPepperの胸についているタブレット端末で表示するものはhtmlで作ることになります。

タブレットのGUIはとてもしょぼかったので、派手なアニメーションなどは演出できませんでした。

タブレットで表現出来るのはあくまでhtml, javascript, cssで作れるものに限られました。

Pepperの身体の関節を動かす作業は「アニメーション」と言われ、それを作る人は「アニメーター」と呼ばれていました。

腰から首までのいろんな関節を動かす事が出来ましたけど、指の関節だけは動きませんでしたね。

あと、最初の頃は腰の関節が弱くて、よく地面にヘッドバッドをしていました。油圧式ブレーキなどが採用されて改善されたんでしたね。

私はPepperのアニメーションで仮面ライダーの変身ポーズを作ってみたかったんですが、

胸の液晶パッドが大き過ぎて邪魔で、うまく作れなかった思い出があります。

Pepperはテキストを音声で読み上げる事が出来ますが、イントネーションを自由に調整できない事で開発者はみんな苦労してましたね。

例えば「あ」という発音は「あ」「ア」「ー」「a」という文字毎にイントネーションが違ったので、

なるべく自然な発声に近づけるために「あ」や「ア」などを組み合わせてボイスの部分の調整をしていました。

 

途中からPepperのOS「naoqi(ナオキ)」からAndroidにしようという動きもありましたね。

AndroidはスマートフォンだけのOSではありません、カーナビやテレビにも採用されていますから。

OSの機能として既にBluetoothもWi-FiもGPSもサポートしていましたから、

Androidを採用するだけで、Pepper用に新しいハードウェアを開発しなくていいというコストの問題があったからです。

またPythonが出来るエンジニアはまだ少なかったですけど、AndroidであればJavaですからエンジニアを確保しやすいという利点もあります。

なので、「naoqi(ナオキ)」はPepperrの頭部に入っていましたけど、

AndroidのOSは胸のタブレットに入っていたので、タブレットが本体(笑)っていう事が起きましたね。

ソフトバンクにこき使われる日々

その後、よしもとの方でソフトバンクの要求を捌ききれなくなり、次第にソフトバンクと直接のやり取りもするようになりました。

しかしロボットのアプリケーション開発はとても特殊で、誰でも開発出来るわけではなく

プログラミングスキルよりもセンスの方が求められるものになります。

そんな人材を確保するというのが1番の課題でした。

人材を確保しても、ソフトバンクからの発注がないとコストが無駄になるし、

人材を確保しておかないと、ソフトバンクから依頼が来た時に素早く動く事が出来ない。

こうしてソフトバンクからどんな指示が飛んでくるのかをビクビク待つような毎日が続きました。

酷い時には徹夜も当たり前の法定外の残業も余裕でしていたと思います。

特にPepper for Bizっていうものを開発する時が1番大変でした。

まぁ、前の会社はある時期まで

「36協定って何?」

って言いながら働いてましたから、残業は当たり前だったんですけどね。

そしてPepper for Bizの開発が終わった後は、ほとんどロボットの仕事が来なくなってしまったので、

「ロボットがやりたい」って入社してくれた人は、やりたい事が出来ずその後辞めていくことになりました。

ありがとうPepper

Pepperのおかげでロボットというものが身近に感じられるようになりましたし、

「次はロボットに人工知能を搭載させてみたい」という自然な流れから、AIの研究開発も進みました。

ですからPepperが社会に与えた影響はとても大きいです。

そんなPepperが10年も持たずに生産停止というのは悲しくなりますね。

しかしあくまで生産停止で、生産終了ではないですから、良い材料があればまた復活もあるかもしれませんね。

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