毎月の平均残業40時間
私が1社目の時の派遣先では毎月40時間くらいの残業が発生していました、月40時間という事は1日平均2時間の残業をしていた事になります。
それは掲題の通り、定時を過ぎなければ始められない仕事があったからです。
現場では労働組合のストライキなどがきっかけで、後に「水曜日は定時退社日」というのが生まれましたが、残業が多い原因の根本が解決したわけではありません。
定時を過ぎなければ始められないのであれば、
「夜勤にすればいいじゃないか」
「時差出勤にすればいいじゃないか」
と言われるかもしれませんが、当時はそれほど働き方に多様性があった時代でもなく、
さらに派遣社員というのは安く長く働かされるものでしたから、仕事が厳しくても「そういうもの」という一言でまとめられてしまいます。
働き方に多様性が生まれた今の時代では、私がいたあの現場は今どうなっているのでしょうか。
最後の工程
当時私が任されていたのはテスターという仕事です。
テスターは作られたものがちゃんと動くのかテストする仕事です。
ものづくりは簡単にまとめると
・作るものを考え、(使用検討・要件定義)
・どう作るかを考え、(設計)
・実際に作り、(製造)
・ちゃんと動くかテストして、(テスト)
・不具合があれば直して、(修正)
・世の中に出す(リリース)
という工程を辿ります。
まだまだ経験の少ない新人には、このテストの仕事を回される事が多いです。
設計が遅れれば製造が遅れるし、製造が遅れればテストが遅れます。
工程が最後の方になるほど、リリースに間に合わせるための労力が増えていく事になります。
不具合の解析作業
私の派遣された現場では朝から定時まで丸一日テスター全員でテストをします。
そこで出た不具合を解析するという仕事が定時後の作業にありました。
不具合があったのなら「作った人に連絡するだけじゃないか」と思うかもしれませんが、それまでにテスターにはテスターでやれる事を尽くします。
・どのパターンで発生するのか
・どれくらいの頻度で発生するのか
・どのメーカーの機器を使った時に発生するのか
・違うメーカー同士の相性は大丈夫か
そういった情報をなるべく多く集める事によって、作った人に原因の特定をしやすいようにしてあげるのです。
ですから、1件でも不具合があったらその後の作業はたくさんありますし、それは見つかった不具合の数に比例します。
不具合が少なければ早く帰れるし、不具合が多ければ終電ギリギリまで頑張る事だってありました。
今考えれば、そういった努力がテストの前の工程の人達の残業を減らす事に繋がっていたのだと思います。
テストの種類
テストにもいろんな工程があります。
・単体テスト:作ったもの単体で動くかをテストする
・結合テスト:他の部品との連携がちゃんと動くかテストする
・総合テスト:すべての部品をまとめて、手順通りに動かしてテストする
・フィールドテスト:試験場の外に出して、実際に使われる場面を想定してテストする
後の工程で見つかった不具合ほど、解析に時間がかかるのは想像がつきますよね。
私が当時担当していたのは総合テストでした。
最後の工程が嫌ならば
ものづくりとはこういった工程と役割のもとに成り立っていて、それらに尽力する人達によって支えられています。
後ろの工程になればなるほど、仕事内容は難しいものはありませんが、その代わりに作業量が増えます。
難しくない仕事だから能力の低い人でも安い賃金で雇うし、多少無理させてでも長時間働かせようとするわけです。
つまり安い賃金で働かされたくなければ、それなりの技術を身に付けろという事です。
能力があれば能力に見合った仕事が任されるはずです。
私が残業ありきの現場に送り込まれたのは私の能力が不足していたという事に他なりません。
それが嫌なら努力しろ、学歴なんか関係ない、という事です。
余談:
「水曜日は定時退社日」というのが出来て、18時30分に帰る事が出来た日は
「こんな明るい時間に帰れるなんて」
と感動したものです。