よくあるパターン
前職や、前々職の会社の事業は受託開発がメインだったのですが、そこでよく仕事の引き合いでお客様から言われるのが
「〇〇ってサービス流行ってるでしょ。あれと同じようなの作りたいんだよねぇ」
というセリフです、デザインだけを変えて、ほとんどの機能は真似して作りたいというものです。
自分達の会社で自社サービスをやりたい時も、マーケティングをやると逆効果で結局革新的なアイデアが出ずに、他社の似たようなサービスの内容になり、ほんの少しだけ内容を変えればそれで「差別化が出来ている」と言い張ります。
でもそれってゼロから何かを生み出した訳ではなく、結局常に先導者がいるわけで、それはつまり永遠に自分達が1位になる事はないと言っているようなものです。
失敗事例のオンパレード
前の会社でやってみて、結果流行りに乗る前に終わってしまった案件を紹介します。
コンプリートガチャ系アプリ
一定のゲーム要素を持たせて、あとは異なるカードを集めてコレクションする事で満足感を得るようなゲームです。
その流れに乗ろうと似たようなアプリがたくさん横行していました。
レアやスーパーレアなどの当選確率の低いカードをゲットするため、つまりはたかがゲーム内のデザインを集める為だけの課金をする人が増え、
そして課金は基本的にクレジットカード決済になるので、手元にお金がなくても気軽に出来てしまい、クレジットの引き落としの時に地獄を見るような課金難民が続出しました。
これを受けてガチャ規制なるルールが出来て、大当たり確率を明記しなければいけないなどを厳格化する動きが過去に数回ありました。
前の会社もこの流れに乗ろうとコンプリートガチャ系のアプリをリリースしましたが、ガチャ規制からの売り上げ減少でサービスを終了する事になりました。
パズル × バトル
パズドラの登場はゲームの新しいジャンルを確立して旋風を巻き起こしました。
登場人物のスペックだけでなく、パズルの結果によって与えるダメージが変わってくる。
そしてその後コインシューティングとバトルを組み合わせたモンストも出ました。
このように全く異なるジャンルの2つを組み合わせたゲームが流行りだしましたが、やはりパズドラとモンストの2つは頭1つ抜き出ていました。
そしてこれらを真似するゲームもたくさん出ましたし、前の会社でもパズドラに麻雀要素を合わせたようなものを作ってリリースしました。
しかしゲーム開発とは時間のかかるものです、パスドラが世に出てから数年後に似たようなものを出したところで、流行りに乗れるわけはありませんでした。
キュレーションメディア
他のサイトから情報を抜き出してきて、自社コンテンツの一部として組み込むようなメディアが流行った時期がありました。
自分達で記事を書かなくてもいいのでコストが安いというのが最大の魅力で、WELQやMERY等のいろんなジャンルのキュレーションメディアが誕生しました。
しかしこれらには
・記事の無断転載
・記事の信憑生
の問題がありました。
記事を書く人を格安で雇うサクラも横行していましたが、サクラの方々も結局はネットで調べて自分が書いた風にしているだけなので、無断転載とほぼ変わらないのです。
結局そこで発生したトラブルに対して責任が取れなくて休止するサービスがたくさん出ました。
前の会社でも複数のファッションサイトをキュレーションしたまとめメディアを作り、そのキュレーション経由で売り上げに繋がったら、売り上げの数%をもらうというビジネスを考えましたが、キュレーションメディア業界全体がバッシングを受け始めたタイミングだったので伸びませんでした。
ドバイマネーを狙う
ドバイには世界中からいろんな物・ビジネスが集まるので、常に巨額のお金が動いています。
その貿易と投資に成功した事で富裕層がたくさんいて、そしてそれらの人に売り込む為にまた海外から持ち込むという好循環を生み出しています。
そのビジネスチャンスから生まれるお金をドバイマネーといい、それを狙う企業は世界中にいます。
つまりライバル企業は世界中にいるので、勝てる戦略がなければいけません。
前の会社は日本企業をドバイに進出させる手助けをするという事業を始めましたが、成功事例を作れず、さらに渡航費や宿泊費が膨大で会社の予算を使い尽くし、1年半でなくなりました。
追いつく事は出来ても追い抜くことはできない
流行に乗るのは目先の利益が欲しいのなら有効ですが、長い目で見てそれが本当に正しい判断だったかを迫られる時に、判断が出来なくなる恐れがあります。
前の会社であったのは、真似してサービスを作って、真似した元が新しいルールを作った時に「俺達もそれを真似しようぜ」という流れでした。
自分達には何の信念も正義もない事を浮き彫りにした瞬間でした。
真似した元のサービスはそこで止まっていてくれるわけではありません、さらに進化し続けていきます。
だからどれだけ頑張っても、追いつく事までは出来ても、結局は追い抜く事が出来ないでしょう。
そして自分達で考えたわけでもない箇所でトラブルを発生させた時、解決方法がすぐに思いつかない、責任を取れないという事に発展するのです。
単純にたった1つの事を考えれば分かる事です、
「あなたはその事業でずっと食べていけますか?」
民主党時代の蓮舫さんの「2位じゃダメなんですか?」発言が懐かしいですが、2位ではダメです。
2位以下に圧倒的アドバンテージを作るくらいの1位を目指さなければ2位にもなれないでしょう。
そのためには誰かの真似をする、流行に乗るだけではダメです。
新しい事を生み出し、さらに「真似されたらどうしよう」という対策を考えるくらいの事までの事をしなければ、勝ち残っていく事は出来ないでしょう。