念願叶って上場
私が辞めた前の会社が5年くらい前からずっと
「上場する」
とか言っていたわけですが、ついに念願叶って今年本当に上場したようです。
もともと上場する目的は、新しい事にチャレンジするには資金がいるから、それを投資家から集めようとした事に始まりました。
その後、会社が勝手に目玉事業にしようと作ったドバイ事業は1年半で無くなってしまい、今流行りのAIの分野で注目を集め、その流れに乗る事でついに上場するに至ったようです。
しかしAIの流行に乗れたのも偶然に偶然が重なったからでした。
SoftBankのpepperアプリ開発の人手を提供し、「ロボットを手掛けたら、次はそのロボットに人工知能を入れてみたい」と思うのは当然の流れで、ちょうどその頃はAmazonのAlexa、MicrosoftのAzure、IBMのWatsonなど、有名各社からAIのエンジンが提供され始め、AIが身近に利用出来る事になった事でロボットとAIの研究開発に参画出来たのです。
しかしもともとはロボットやAIをやっていた会社ではなく、会社をそちらのブランドにすると舵を切る事で、その経営方針の転換についていけないとたくさんの社員が辞めていきました。
また、ロボットやAIに力を入れるために、既存の事業を犠牲にしたりもしました。
そういった背景を知っているからこそ、私としては上場した事はとても感慨深いものがあります。
公開される情報
上場するにあたり、会社の情報を包み隠さず公開する必要がありますが、そんな事まで情報公開するのかといった内容もあります。
従業員数:74人
また減りましたね。全盛期は100人くらいいましたが、私が辞めた時で80人ほどでした。
転職サイトでコンスタントに求人を出し続けているにも関わらず、それでも減り続けるのは、根本的な問題があるからです。
同社は、創業後しばらくは、エンジニアの派遣や請負の形態で業務システ ムに係るソフトウェア開発を行っていたが、14 年にソフトバンクグループ (9984 東証一部)が開発した人型ロボット Pepper 向けのアプリケーション開 発を開始したことが事業転換の契機となった。その後、AI の研究や、AI のロ ボットへの実装に取り組んだことで、現在は幅広い顧客の業務システムに AI を利用したソリューションを提供している。
という事で、前述の通り、AIの会社でなかったのにAIの会社になったきっかけまで晒される事になりました。
同社は、顧客の要望に応じて、Microsoft や Google の様な AI プラットフォ ーマーが提供するアルゴリズムを活用した学習モデルを短期、かつ、低コス トで生成するほか、AI プラットフォーマーが提供する顔認識機能や自然言 語解析機能等を組み込んだソリューション開発を行っている。
Amazon や Microsoft 等が クラウド上で提供している AI 機能を評価し、適切なものをスイッチングして顧 客に提供するマルチクラウド機能も備えてる。
という事なので、この会社はそもそもAIのエンジンを研究開発している会社ではないという事まで説明されています。
AIのエンジンの部分は大手のプラットフォームを利用して、それをビジネス展開しやすいようにカスタマイズしているだけなのです。
ビジネスの転換に伴い、変化に対応出来なかった技術者が離職したため、 2016年の従業員は前期末比 21 名減の 79 名となった。
2016年の事なのに、そんな事まで晒されるんだなぁと思ってしまいます。
しかし補足するなら、この前年にドバイ事業を作り、その事業の為だけに10人くらい採用し、しかしドバイ事業で何の成果も残せずに1年半で事業が無くなって、そのために雇った正社員が全員辞めていったという事が伏せられていますね。
特定顧 客の大口案件に対する依存する状態が続いているため、大口案件の取引が 中止、縮小した場合、業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性がある。
この会社のリスクそのものの情報まで全部晒されるんですね。
同社は役職員に対してインセンティブを目的としたストック・オプション制度を 採用している。
ストック・オプションは役員のみで、一般社員はその恩恵を1ミリも得られないという事ですね、この会社らしいです。
株価チャートは・・・
さて、上場して1ヶ月ですが、株価はどうなったのか。
悲惨な事になってますね、1ヶ月でまさかの半値。どうしてこんな事になってしまったのか。。。
普通は上場した瞬間にグッと上がって、その後滑らかに下降していくもののはずですが・・・。
ここでこの会社の株価に対する掲示板の書き込みを見てみましょう。
これだけ下がる株も珍しい。。
過去こんなクソ株見たことないぞ
ここは、よっぽど良い決算を出さないと厳しそう。
今まで何度かIRを出したが全く反応なし。
それどころか、株価は下がりっぱなし。
好決算と分割で反転攻勢するしかないね。
ここの役員は、これだけ株価が下がり、企業価値の低下の責任をとるべき。今月は報酬貰う資格なし。
もう、この会社、もう終わりか?
上場時のイナゴ人気で一時的に株価が上がっただけやんけ?
HPみたら訳の分からない説明ばかりで
こりゃ? 本当は危ない会社のような気がしてきた。
なんでこんな訳の分からない会社が上場なんてするんだ?
役員もパッとしないし、気がついたら株価が1/10以下もあり得るな!
綺麗な滝ですね
地獄じゃん
上場したばかりなのに、だんだん新鮮味なくなってきて、落ち着くとこに落ち着くのでしょうか。
こんなクソ株全部売った
こんな安いエンジニア雇って本当にAI銘柄なんか?(^^)
他のマザーズと違って圧倒的に戻りが悪い
皆さんしっかり逃げれてますか。
この銘柄は本当に逃げ遅れてたら含み損半端ないのではないか。
いつになれば上がるのやら。
まだまだ許さんよ↓
強制労働10年くらえ
楽しようとするからこうなるんだ
マザーズ指数が上がっても
ここは下がる
マザーズ急落にはついていく
ここから半月で半分になるでしょう。
このチャート見たら怖くて買えんだろう
株が恐ろしい
怖い
もうやりたくない
いやぁ・・・、えらい言われようです。
たったの1ヶ月でこれだけ投資家に損失をもたらしたのだから当然と言えば当然なのですが。
上場する前の本来の予定では、投資家からの投資金を使って、今の事業を拡大させたり、新しい事業にチャレンジする資金にするはずでした。
しかし今は毎日の株価の値動きを気にして、IR情報を出したり、自分の保有している株を手放して市場で買い手がつくようにしたりと、今までの会社経営でやらなくてもよかった事をやらざるを得ない状況になっています。
おそらく株主から今まで来た事もない苦情のメールや電話が会社に殺到しているのでしょう。
しかしここの会社の経営陣は株は初心者で、社員数70名と体力もなく、資金力もない。
株主から苦情がきたところで、出来る事は何もないのです。
この会社は12月に決算ですから、決算の発表時には多少株価は回復するかもしれませんが、それ以外には特にイベントはないので、その後の株価が維持できるかどうかが最大のポイントです。
IR情報を見るたびに心配になる
上場してからというもの
・◯◯と業務提携しました
・△△と共同開発しました
といったIR情報を連続で発信しています。
しかし元社員だった私から言わせれば、どこにそんな人員がいるのか?と疑問になるのです。
現在の社員数が70名だとして、エンジニアはそのうち50人程度です。
さらにAIに関わっているエンジニアはこの数分の1しかいません。
他のプロダクト開発や、インフラエンジニアがおよそ半分を占めているからです。
ですから、
・◯◯と業務提携しました
・△△と共同開発しました
といったニュースを見るたびに、1案件につき何人関わっているのかが心配になるのです。
だからこの会社の株を買う人はよく考えるべきです。
AIの分野は今まさに旬で、これからの高齢化社会、人手不足の時代に必要不可欠で伸びしろのある業界である事に間違いはありません。
しかし社員数がたったの70人しかいない、AIの研究開発に使える人数は実は少ない会社だという事を理解しなければいけません。
不定期的に求人を出すも社員はさらに減る一方、それはこの会社の経営に問題があるという事です。