リーマンショックと同じ悲劇再び
新型コロナウイルスの経済低迷の影響で、内定取消や来年度の新卒採用見送りの勢いが止まりません、本当にリーマンショックの時の事を思い出します。
私は大学に行っていないので詳しい事は分かりませんが、
本来であれば今頃の大学4年生は就職先が決まっていて、卒業研究や卒業論文に励んでいたのでしょう。
しかし内定を取り消された事であらためて就職先を探さなければいけない事態になり、完全に予定が狂ったものだと思います。
リーマンショックの頃も「就職出来なかった学生のサポートをしていきます」と大学側が表明したニュースなどがあった事が思い出されます。
しかも今回は「密を避けろ」という事で、就職活動の為に出かける事自体が障害になっているので、リーマンショックの頃よりタチが悪いと言えます。
大学の就職活動の時期が早過ぎる
内定取り消しで最も大きなダメージを受けるのが、早々に就職先を決めた学生でしょう。
就職先が決まれば、在学期間の残りの時間を「卒業するため」に集中出来て、そして卒業の条件を満たせばあとは卒業まで遊んでいられます。
しかし内定が取り消されたら、また就職先を決める事を第一優先にするところに戻されてしまいます、これは天国から地獄に突き落とされた気分になるでしょう。
そもそも大学は4年間もあるのに、3年生の後半には就職活動が始まります、早過ぎですよね。
これは別に大学生の卒業研究や卒業論文の期間を考慮したからではありません。
優秀な学生をいち早く確保したいという企業側の競争の激化の結果が、他の企業よりも早く、より早くと採用活動を始めたからです。
この流れが止まらないと、就職活動の開始時期は今よりもどんどん早くなっていくでしょう。
ちなみに私の弟は大学卒業後に2年間の大学院に進学しましたが、大学院入学早々に就職先が決まり、
「就職先が決まっているのに、これから2年間何のために何を学ぶんだ?」
「就職先が決まっているのに、まだ学費が必要なの?」
という現象になりました。
もちろんその期間中に資格を取得するなどの有意義な使い方が出来ますが、しかしそれは就職先が決まった以上、予定されていたものではなかったはずです。
もし就職先が決まった事で心配する事なく2年間有意義な学生生活を送ろうとして、直前になって内定取消になったら最悪ですよね。
このように、就職が決まるのが早ければ早いほど、内定を取り消された時の反動が大きくなります。
しかし就職活動の時期がどんどん早まってきているという事も事実なのです。
「新卒採用」という制度がある理由
常に求人を募集する「通年採用」ではなく、卒業したての学生を一括で採用する「新卒採用」があるのは新人教育の効率の問題があるからです。
社会に出たばかりの新人は入社してまずマナー研修というものを受ける事になります。
その会社での働き方ではなく、電話の取り方や名刺の交換の仕方など、新社会人に対して身に付けさせる一般的なものになります。
これを新人が入ってくる度に研修させていてはとても効率が悪い為、一括で採用して全員合同で学ばせる事で効率化を図りたいのです。
第2新卒
ちなみに中途採用で「第2新卒歓迎」というものがあったりしますが、第2新卒とは社会に出て3年未満くらいの求職者の事を言います。
第2新卒を好む企業があるのは、新卒と同じくらいの金額で雇えて、しかしすでに他の会社でマナー研修を受けているから自社でマナー研修を受けさせる必要がないからです。
通年採用にすべき理由
通年採用にすると、前述の通り企業側でマナー研修を効率良く行えないというデメリットがありますが、
採用される側の学生にとってはそんなにデメリットがあるのか?と思えるのです。
むしろ考え方を変えるべきなのです。
そもそも就職活動において最も重要なのは
「何が出来るのか」
を証明する事に尽きます。しかし履歴書や面接でいくら
「私は◯◯が出来ます」
と言っても、それを物理的に証明する事が出来ませんよね。
ですから、必要なのは
「◯◯大学卒業というステータス」
よりも
「◯◯という資格を保有している」
という事が優先されます。
そして資格の保有の有無以前に、そもそも学校に行く目的は就職に必要な能力を身につける為なのだから、企業から
「あなたが欲しい」
と言われたらそこがもうゴールなのです。
就職先が決まればそれ以上在学する必要はありませんよね、そこで中退すれば学費が節約出来ます。
ちなみに失業者が通う職業訓練校ではこのシステムを導入しています、就職先が決まったら即卒業です。
さらに本当に優秀な実業家は在学中に起業して、いち早く社会に出たりしています。
「◯◯学校を卒業した」というのは何のステータスにもならないという事を自覚するべきで、むしろ採用プロセスにおいて学歴しか見ない企業は考え方が古いままの体質です。
むしろ社会に出る準備が整った時に自由に就職出来るようになっていた方が、内定取消に泣くような悲劇を生み出さない方法なのです。